企業にとってのSNSの活用方法を考える

「FacebookとかTwitterってやっといた方が良いんでしょ?」

 

WEBサイトを制作する際によく聞かれる事です。

 

答えとしては、
「時と場合によります。別に必須ではありません。」
と答えます。

 

 

■活用法を間違えれば、SNSをやっていても効果は無し

 

大前提として、SNSは「個人と個人を繋ぐコミニケーションツール」だと思っています。
もちろん、上手く活用すれば企業でも大きな効果を得られる場合があります。
しかし、殆どの企業が『上手く活用できず、特に効果を実感していない』というのが現状ではないでしょうか?

 

SNSの特性を理解し、どのようにフォロワーを増やしていく(人を集める)か、考えてみます。

 

 

 

■検索エンジンとの違い

 

検索エンジンとSNSは、現在のインターネットにおいて、人の集まる「2大巨頭」であると言って良いと思います。ネットを使っていて、「検索エンジンもSNSも使わない」という人はほぼゼロでしょう。

 

検索エンジンは「検索ワード」という「目的」を持って情報を探します。
例えば、
「高円寺で古着屋を探している人」が「高円寺 古着」と検索し、検索結果に表示されたWEBサイトを閲覧します。このような目的を持った人にアプローチ出来るのが商用WEBサイトであり、「検索エンジンで集客していく」事です。

 

SNSは上記と比べるとどうでしょうか。
SNSを見ている人は基本的に「フォロー」や「フレンド」といった繋がりのある人(アカウント)の投稿する写真・文章・つぶやきを見ています。
特定の関心のあるキーワードで検索することもありますが、検索エンジンのように「お店や会社、サービスを探す」というよりは、スポーツの試合やテレビ番組、人物、場所、モノなど多岐に渡り、「感情を共有」したり「どう感じたか」を眺める場合が多いと思います。

 

検索エンジンの方がより「探す目的が明確なツール」であり、SNSは「日常のコミュニケーションツール」という根本的な違いがあります。

 

 

 

■SNSの最大の特徴は拡散力

 

SNSの特徴と言えば、何といっても「拡散力」です。
炎上というある種の文化もSNS特有のもので、SNSの拡散力が起こす現象です。
例えば、テレビや紙媒体などのマスメディアからブログやWEBサイト、そしてSNS自体から物議を醸すような情報や、話題になる情報が発信され、SNSによって拡散していきます。

 

SNSの拡散力は凄まじく、数分~数時間の間に何百人、何千人、何万人という人に情報が伝わり、それがまた何百人、何千人、何万人という人に伝わり…というように「いいね!」や「ツイート」、「シェア」というようなかたちで伝播していきます。(いわゆるバズるという現象)

 

テレビも同じタイミングで何百万人という人に情報を伝えることが出来るツールですが、テレビ局→視聴者という一方向が基本です。そして、多くの人が制作に携わり、編集された情報が届きます。

 

SNSは各ユーザーがそれぞれの方法で拡散していきます。例えば「単にシェアする」「意見・感想を付け加える」「改変して拡大させる」などです。発信側がコントロールすることは不可能で、意図しない形で情報が拡散し、誤解が誤解を生みトラブルになることもあるでしょう。
これまでメディアによって編集されていた部分が、個々人がメディアとなるので、「完全なプライベートな場」であると勘違いして好き勝手に発信して大きな問題になることもあります。
(時には、職を失ったり、企業に対し大きな損失を招く例も数多くあります)

 

使い方によっては強力な集客ツールとなり得るものですが、
同時に一度発信した情報はコントロールすることが不可能なので、使い方には気を付けた方が良いかもしれません。(いわゆるリテラシーを高めることが大切です。)

 

 

 

■無関心な人をどれだけ集められるか

 

検索エンジンとは違い、「目的があり情報を探している人」ではなく、SNSは「日常のコミュニケーションツール」として利用している人が多いです。友達とのコミュニケーションや、関心がありそうな情報を集めるツール、好きな有名人・企業等からの情報を受け取るツールとして使っています。
(もちろん、ビジネスとして利用している人も大勢います)

 

殆どのユーザーが「あなたのサービス・商品」に対して興味が無い、もしくは少しだけ興味があるくらいだと認識しておいた方が良いと思います。
よほど有名な企業でない限り、ただ単に「こんなサービスがあります!」「新商品を出しました!」など宣伝を発信しても興味を持たれない可能性が高いです。スルーされるだけでしょう。

 

『単に宣伝をしてもスルーされるので、スルーされずに、いかに「おっ!」と興味を持ってもらえる情報を発信できるか』

 

これがSNSの活用において重要であると考えています。

 

 

 

■「面白い」「刺激がある」「シェアしたくなる」情報を発信する

 

いかにスルーされずに、ユーザーに対して情報を発信していくか。
企業が発信する情報は、普通であれば退屈です。エンターテイメントや面白いサービスに関するものでないかぎり、これは仕方のない事だと思います。

 

「宣伝」や「ダイレクトな集客」からは少し切り離して、日常のコミュニケーションとして、関心を惹くような情報を発信していくと効果的です。

 

例えば、
・目に留まる写真(面白かったり、オシャレだったり、可愛かったり)
・ウィットに富んだジョーク
・事業に関係ない、単純に皆が興味のありそうな事(話題のお店や製品、場所など)
・話題になった他のアカウントからの発信をシェアしたり拡散する

 

これらは、「企業のサービス・製品」に関心のない人でも、見ていて面白かったり、お得感のある情報なので、目に留まりやすく、そこから「企業のサービス・製品」に関心を持ってもらえる可能性があります。

 

あくまでも順番として、
①情報として、目に留まる
②「企業のサービス・製品」に関心を持ってもらう

 

この順番が大切だと思います。
宣伝ばかりで面白くないアカウントには、中々人は集まらないでしょう。

 

 

 

■人気を集めている企業アカウントを参考にする

 

人気を集めている企業アカウントが「なぜ人が集まるか」という視点で参考にしてみると分かりやすいと思います。
「これが正解!」という方法はなく、様々な方法で情報が発信されてます。
また、ツイッター・フェイスブック・インスタグラム・LINEなどSNSによって、利用しているユーザー層も違うので、それぞれで違ったアプローチが考えられます
傾向としては
・面白い、刺激がある
・創意工夫がされている(手が込んでる)
・写真がカッコいい、オシャレ
・企業イメージとギャップがある

 

というようなアカウントが多いような気がします。
片手間ではなく、しっかりとSNSでの情報発信にも力を入れている企業が人気になるのは間違いないでしょう。

 

一例として、
シャープ(twitter)
タニタ(twitter)
土屋鞄(Facebook)
relux(Facebook)
ヤマサ醤油(Facebook)

 

などが挙げられます。
どのアカウントも、特に企業自体に関心がない人でも、思わず目に留まったり、見ていて面白いアカウントです。

 

どうしても企業の知名度と人気は比例する部分はあると思いますが、工夫次第で、テレビなどに広告を出していない企業でも、SNSで人気を集める事が出来る可能性があります。

 

 

 

■コスト(時間・お金)を掛けずに人を集めることは出来ない

 

SNSは無料で利用できるので、「無料で宣伝ツールが手に入る」と勘違いしてしまいますが、
結局、ある程度の注目を集めるためには、それなりのコスト(時間・お金)が掛かっています。

 

例えば、SNS専任の担当者を置いたり、綺麗な写真を掲載したり、人気を集めている企業はコストを掛けています。星の数ほど企業はあり、どの企業でもアカウントを作ることは簡単にできるので、「手っ取り早く人を集められるツール」だからとりあえず始めようというくらいの認識では、中々成果を実感できるレベルまでは行かないかもしれません。

 

 

 

■まずは目を惹く写真を載せること

 

シャープやタニタのように、ウィットに富んだ面白いツイートを発信していくのは「ある種の芸」なので、少しハードルは高いかもしれません。また、ある程度リテラシーが無ければ、炎上したり問題になるリスクもあります。

 

SNS初心者の企業は、まずは「目を惹く写真を載せること」が一番始めやすく、目に留まりやすい情報を発信していくための方法として良いかもしれません。

 

フェイスブックでもツイッターでも、注目を集めやすいのは「写真」です。急速にユーザー数を伸ばしているインスタグラムはまさに「写真」に特化したSNSなので、写真に力を入れて発信してみると、反応が得られるかもしれないですね。

 

ワンパターンや同じような写真ばかりだと飽きられるので、
・事業に関係なくても目に留まる写真(プライベートでも可)
・企業の内側が見えるような写真
・話題のお店や場所、イベントなどの写真
これらをミックスしていくと、見ていて楽しいアカウントになるでしょう。

 

 

 

■プレゼントも効果的

 

お金を掛けて「フォロワーを買う」ようなサービスもあるようですが、質の低い、実体の無いアカウントから大量にフォローされても、あまり意味はないような気がします。
数字上のフォロワーがどれくらい実体があるか、見極めることは難しいでしょう。
それよりは、実際にプレゼント企画などを行い、フォローやいいねを集める方が、ユーザーにとってもメリットがあるので、効果があると思います。
他の企業の企画を参考にしてみると、色々参考になるアイデアが見つかると思います。

 

 

 

■お知らせ・RSS・メルマガの延長として割りきって使うのもあり

 

上記のような人気を集めるアカウントのようなコスト(時間・お金)を掛けるリソースが無い場合は、RSSやメルマガの延長として使うのもありだと思います。

 

あくまでもWEBサイトやブログの更新情報をSNSで発信して、アクセスを集めるという方法も、”多少”は効果があるかもしれません。(大きな成果を期待するのは難しいでしょう)

 

 

 

■BtoCならLINEの公式アカウントが活用できるかも

 

スマホを使っている人はほぼLINEも使っているといって良いくらい、
LINEは浸透度・使用頻度が高いです。

 

LINEでは企業向けに公式アカウントを作成するサービスを有料で行っています。
飲食店やサロン、お店などでは、リピーター向けにダイレクトに情報を発信できるので、活用出来れば大きな情報発信ツールとなるでしょう。
http://at.line.me/jp/feature

 

 

 

■SNSをやらないという選択肢もあり

 

色々と紹介してきましたが、結局は「無料で手軽に集客が出来るツール」としてSNSを活用するのは結構難しいと思います。
それなりのコスト(時間orお金)を掛けないと、ある程度の成果は得られないでしょう。

 

自社のサービスや製品が、
・かなり限定された需要に特化している(特定の企業に限定される)
・利用する顧客層がそもそもSNSをやっていない

 

このような場合には、そもそもSNSではなく、検索エンジンでの集客の方が効率が良く、効果的です。その場合は自社のWEBサイトに注力した方が良いでしょう。限られたリソース・予算の中であれもこれもやっても力が分散するだけで、どれも中途半端になってしまうことも多いです。

 

「他がやっているから」「とりあえず流行っているから」というような曖昧な理由ではなく、
自社の特性・ニーズと、SNSの特徴を把握したうえで、どのような手法で活用していくか、明確にしてから取捨選択を行っていく方が良いと思います。

 

既にアカウントのあり、有効に活用できていない企業では、なぜ「人気が無いか」一度分析してみることをお薦めします。

創意工夫することが非常に大切です。

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